遺言書作成のお手伝い
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自筆証書遺言作成マニュアル

 体裁

「全文(本文のことです。)」、「日付」、「氏名」は自書(自分の手で書く)でなければいけません。押印も必要です。

  • タイプライター、ワープロ、パソコンソフト、印刷による作成 ×(無効です。)
  • 代筆・代書 ×(無効です。)
  • 録画、録音によるもの ×(無効です。)
  • 点字機による作成 ×(無効です。)
  • 誰かに口頭で言い遺す ×(無効です。)
  • カーボン紙を挟んだカーボン複写 (有効との判例がありますが、避けてください。

 横書き、縦書きのどちらでも構いません。

 一部でもワープロなどの記載部分があれば無効になるものと考えて、注意して下さい。

 題名は原則として必要ありませんが、冒頭に「遺言書」と記した方がよいでしょう。その場合、この題名も自書してください。

 筆記具

 鉛筆や消しゴムその他のもので消せるペンは使用しないでください。普通のボールペンか万年筆がよいでしょう。

 用紙

 劣化しにくい紙であればどのようなものでも構いませんが、「字が読みづらいくらいに柄や色がついているもの」、「破れやすいくらいに薄いもの」、「字が書きづらい紙質のもの」、「始めから何らかの文字が入っているもの」は使用しないようにしましょう。

 サイズは特に決まっていません。

 日付

「平成25年1月1日」または「2013年1月1日」のように正確に書いてください。

  • 「平成25年1月」 ×(無効です。)
  • 「平成25年1月吉日」 ×(無効です。)
  • 「長野オリンピック開会式当日」 (有効との判例がありますが、避けてください。
  • 「私の50歳の誕生日」、「私の還暦の日」 (有効との判例がありますが、避けてください。
  • 遺言書に記載しないで封筒のみに記載 (有効との判例がありますが、避けてください。
  • 他の書面等に照らし合わせるとわかるようになっている ×(無効です。)

 氏名

 戸籍上の「氏」「名」を正確に書いてください。

  • 芸名、雅号、通称名などで本人との同一性が確認できるもの (有効との判例がありますが、避けてください。
  • 「名」だけで本人との同一性が確認できる場合 (有効との判例がありますが、避けてください。

 押印

 認印で構いませんが、できれば実印を押印し、印鑑証明書を同封しておくとよいでしょう。

  • 拇印などの指印 (有効との判例がありますが、避けてください。
  • いわゆるシャチハタ印 ×(判例はありませんが、使用しないでください。

 用紙が数枚に亘る場合

 1組の遺言書とわかるようになっていれば、そのうちの最後の1枚にのみ日付、氏名を記載し、押印すれば足りますが、できれば、製本の要領でステープラーで2箇所ほど綴じ、使用した印鑑でつなぎ目に契印した方がよいでしょう。袋綴じまではする必要はありません。

 封書・封印

 封書・封印の規定はありませんので、必ずしも封筒に入れておく必要はありません。ですが、改ざん等の防止のために、遺言書は封筒に入れ、遺言書に使用した印鑑で封印してください。

 そして、封筒の表側に「遺言書在中」、裏側に「開封厳禁 この遺言書を、私の死後、遅滞なく家庭裁判所に提出し、検認を受けること。家庭裁判所以外で開封すると過料に処せられる。平成25年1月1日 法務一郎」と書き、日付は遺言書の日付と同じ日にしてください。

 文面の訂正

 修正の場合、修正する箇所(文字上)に二重線を引いたうえで、その付近に修正後の文を書いて押印します。そして、該当する行の欄外に「本行 5字削除 6字加入 法務一郎」などと記載します。

 加入の場合、加入する箇所付近に加入したことがわかるように文を書いて押印します。そして、該当する行の欄外に「本行 6字加入 法務一郎」などと記載します。

 削除の場合、削除する箇所(文字上)に二重線を引いたうえで、その付近押印します。そして、該当する行の欄外に「本行 5字削除 法務一郎」などと記載します。

 該当する行の欄外に書けない場合は、他の余白部分に「3行目 5字削除 6字加入 法務一郎」などと記載します。

 訂正は上記のように面倒なものですし、訂正の方式自体を間違えた場合はその訂正は無効となり、遺言執行時のトラブルの原因にもなりまので、始めから全部を書き直した方が無難だと思います。

 内容について

  • 遺言で法律的に実現可能こと(遺言事項)はこちらを参照してください。遺言事項以外のことを書いても法律的にはその遺言書は意味がありません。だだし、付言事項といって、遺言事項の補足(なぜそのような内容にしたかの理由など)や自分の希望・願いを付記することは、家族への思いやりなどの観点からは大変意味があることだと思います。
  • 財産または指定相続分は漏れなく記載してください。遺言に記載されていない財産や相続分がある場合、記載されていない部分をめぐって争いになり、遺言書を書いた意味がなくなることがあります。財産目録を作成してから内容を検討するとよいでしょう。特定の財産を記載したうえで、「その他一切の財産は妻○○に・・・」や「この遺言書作成後に取得する財産は長男△△に・・・」というように、補足的に財産の帰属先を記す方法もあります、
  • ご自分の推定相続人を把握したうえで、遺留分に注意して作成しましょう。
  • 相続をさせ、または遺贈する場合は「何を」「誰に」「どれくらい」なのかを明確にし、特定の財産を指定する際は、正確に記載して下さい。例えば、不動産なら不動産登記簿の記載どおりに土地と建物を分けて記載し、住所ではなく所在・地番を書くようにしてください。預金口座なら銀行(例:株式会社○○銀行)・支店名、預金種別、口座番号のすべてを記載してください。
  • 遺言執行者しかすることができない遺言事項以外の場合でも、預貯金の解約、払戻しを円滑にするために、遺言執行者を指定したうえで、解約や払戻しの権限を与えて明示しておくことをお勧めします。遺言執行者は専門家でなくてもよく、その口座の預金を取得することになる相続人で構いません。払い戻して現金を分けることになる場合は、相続人の中で代表者を決めて預金に係る遺言執行者とする方法もあります(ただし、自筆証書遺言の場合は、遺言執行者を指定しても、金融機関によっては円滑に執行できない場合があります。)。
  • 相続預貯金の中から入院費や負債、葬儀費用を支弁したうえで、その残りを分けるという内容の遺言も有効です。
  • 変造を防ぐため、横書き・縦書きにかかわらず、数字の「1、2、3、10、100、1,000、10,000」は「壱、弐、参、拾、百、千、万」とするのが望ましいとされています。
  • 高齢の人や病床における自筆証書遺言の作成の場合、後の有効性に係る争いを防ぐために、遺言作成時に遺言能力を有していたとの内容の医師の診断書を同封しておくとよいでしょう。
  • 夫婦などで共同で作成した場合は無効になります。詳しくはこちらを参照してください。

 保管場所

 親族が見つけにくいところに保管しないようにしましょう。事前の開封の恐れや特別に支障があるのでなければ配偶者に渡しておいたり、保管場所を教えておいてもよいでしょう。また、友人など信頼できる人にに保管場所を伝えておいたり、葬儀の際にお世話になる(お墓のある)お寺の住職に預けることも方法の一つです。

 なお、銀行等の貸金庫での保管は絶対にやめてください。遺言者が亡くなった後、相続人全員の合意がないと開けることができません。仮にそのことに備えて遺言執行者を指定し、貸金庫の開披を遺言執行者の職務としていた場合であっても、自筆証書遺言は貸金庫の中にある1通しかありませんから、遺言執行者を確認することができず、貸金庫の開披に関しては遺言のない相続と同じことになってしまうからです。
 貸金庫の契約をしていたことを家族が知らない場合は、遺言書自体が発見されないということにもなります。 

 自筆証書遺言のデメリットでもある注意点

  • 方式違背や内容が不明確な場合が多く、解釈について争いが生じたり、無効とされるケースがあります。無効ではないまでも、執行不能となる場合もあります。
  • 偽造・変造や紛失、隠匿、盗難などの危険があります。
  • 保管場所によっては、遺言者の死亡後に遺言書が発見されない場合があります。遺産分割協議の終了後に発見される場合もあります。
  • 遺言者の死亡後、遺言内容を執行する前に家庭裁判所の検認手続が必要となり、相続人に負担をかけることになります。
  • 遺言執行者が指定されている場合でも)金融機関によっては、自筆証書遺言(検認調書付き)と死亡が確認できる戸籍謄本のみでは預金の払戻しや口座解約・名義変更に応じてもらえないことがあります。遺言書のない相続と同様に、金融機関所定の同意書等への相続人全員の実印の押印とその印鑑証明書の提出を求められることがあり、かえって相続人間の争いに発展するケースもあります。